Follyとは東屋、あるいは「無用の空間」を意味します。特定の機能はもちませんが、その空間があることで、時にそこで憩い、時にそこで遊び、時にそれが彫刻となり、風景に刺激をあたえます。このように、機能がないことで、かえって自由度の高い魅力的な空間となるのがFollyです。
今回はFollyの「原型を立方体」として仮定します。ここに切り込みをいれ、折りまげていくことで箱はどんどん姿を変えて、自由にのび広がる、立体へと変身するはずです。その造形実験の果てに、とうとう「これだ!」と思う空間ができるでしょう。その「これだ!」という空間こそ、あなたが目指すべきFollyです。
Follyの形がきまったら、今度はそれを鏡野公園内に設置しましょう。どんな場所、どんな地形に、あなたのFollyを置くと魅力的なのか、その視点からFollyの設置場所を決めてください。こうして鏡野公園にピタッとはまる素敵なFollyができる時、それがKAGAMINO Follyの完成となります。
あなただけの工夫がつまった、みんなにとってワクワクするような、そんなKAGAMINO Follyを設計してください。
Follyをググってみると、いろいろと面白い事例がヒットします。
敷地
敷地は大学南側の鏡野公園の西側区画とします(下のGoogleMapの赤い線で囲んだ範囲)。
この範囲で建てたいと思う場所を選定してください。
フォリーに関する条件
後述するルールの範囲内で自由に考えてください。
提案するフォリーに応じて、階段や手すり等は適当に付加して良いです。
Step3は3人1組で進めます。自分(設計者)の設計したフォリーの図面を、他の学生(監督役)にチェックしてもらいます。また、プレゼン模型は他の学生(施工役)に作成してもらいます。3人で設計役・監督役・施工役の3役をそれぞれ全て重複せずに行ってもらいます。貴方はスタディ模型を作り、自分で設計図を書いた後、貴方にとっての監督役や施工役の2人の学生に図面のチェックやプレゼン模型の制作をお願いします。そして他の学生にとっては、監督役や施工役として、図面のチェックや模型作りに協力します。
一辺が4mとなる立方体(S=1:50)の模型(一辺の実寸法8cm)を2つ以上作成すること(スタディ模型用)。
ケント紙で作成し、「1cm間隔で補助グリッド」を引いておくこと。
工作用紙の場合は、既存の方眼を使って下さい。
自分で構想し、空間をつくりましょう。気に入るものができるまで、何度もチャレンジしてください。試行錯誤を繰り返すのがスタディ模型の役割です。
準備した8cm角の立方体(1個)を加工してスタディ模型を、少なくとも2つ以上は作成して試行錯誤する。
(以下『5つのルール」を守る)
1. 立方体はグリッドに沿って、切る、折る(方眼線以外の箇所は切ったり、折ったりしてはダメ)。
また切り離してはいけない。
2.折りは全て直角を保って折り曲げること(折る角度は90度のみ, 折り畳むのはだめ)。
3.立方体の角の折り目を延ばすのはOK( フラットにするのは良い)。
4.立方体の6つの面のうち、少なくとも4面には切り込みや折り目をいれること。
立方体から開放された自由に伸びあがるような形状になっても構わない。
5 . 2枚の壁が重なってしまうケースは1枚とみなして良い。
スマホでスタディ模型の写真を撮影し、レイアウトした写真をPDFにしてSlackに投稿すること。
模型写真は3枚(3方向から撮影)を1枚にレイアウトしてデータにする( PDF ファイル)
提出先はSlackの「# cad図学2024-step3-課題1」チャンネル
ファイル名は「学籍番号_step3-課題1.pdf」(例:1250987_step3-課題1.pdf)
参考例:スタディ模型の写真
全体を通しての注意点
最低限必要な図面は,上面図,平面図,立面図,断面図(模型制作に必要な図面)などです。
図面からスタディ模型を復元するために必要な図面を各自考えて,必要な図を揃えて下さい.
平面図、立面図、断面図における芯線とグランドラインはPDF出力の時には非表示にします。
PCよりJw_CADで作図すること.「図枠に設計者:学籍番号,監督者:学籍番号」を記入すること(氏名不要)。
縮尺1:50で作図すること。
寸法線はまだ入れないで構いません。
平面図
スタディ模型の平面図を描く高さ(水平の切断位置)を決めてください。切断位置はグリッド線からずらしましょう。
床が複数ある場合は、複数の切断位置を決めます.
位置を決めたらスタディ模型に赤ラインで水平線を書き込んでください。
その位置で切断した図を平面図とします。
切断線は太い線で、手前・奥は線種を変えて表現すると見やすいです。
断面図
スタディ模型の断面図を描く位置(垂直の切断位置)を決めてください。切断位置はグリッド線からずらしましょう。
位置を決めたら、スタディ模型に青ラインで垂直線を書き込んでください。その位置で切断した図を断面図とします。
解説:設計者と監督が、スタディ模型と図面各種を参照しながら、模型作成に必要な図面が不足していないか相互確認します。
用意するもの
スタディ模型と図面各種
スタディ模型と図面各種のチェックを設計者と監督者で行います。
監督者は設計者の模型と図面を通して,図面から模型を復元するために不足している図が無いかチェックする.
(STEP3-6で製作者が模型を作成できなかった場合は,監督者の責任として監督者を減点する)
分からないこと等は、TAや教員に質問してください。
その他の図面の添削ポイント
線種が正しく使い分けられており、見やすい図になっているか?
切断面は太い線で、切断面の奥に見える部分は細い線で描いてあるか?
スタディ模型と図面の整合性の確認
スタディ模型どおり図面が作成されているか確認してください。
スタディ模型のフォトグラメトリ
スマートフォンアプリ 「scaniverse」 を用いてスタディ模型の3次元データを作成してください。
作成したデータを、Sketchfab にアップロードし、共有リンクをSlackに投稿すること。
スタディ模型は捨てないように。
提出先はSlackの「# cad図学2024-step3-課題2」チャンネル
課題1-2の図面のファイル名は「学籍番号_step3-課題2.pdf」(例:1250987_step3-課題2.pdf)
同じ投稿先に課題2-2の共有リンクも合わせて投稿してください。(上の例だと右の共有リンクができます:https://skfb.ly/ptNIz)
Step3-3,Step3-4の課題では壁や床を1本の線で描きました。これをシングルラインと呼びます。
次にシングルラインを頼りに、壁や床の厚さを描きます。これをダブルラインと呼びます。
壁厚、床厚は150mmとします。
床は、芯線(方眼線)より上に床厚を設定して下さい。
切断面は太い線かつ塗りつぶし、切断面の奥に見える部分は細い線で描きます。
図面はJw-cadを用いて作図してください。
縮尺1:50で作図し,A3用紙の設定でPDFに出力してください。
PDFが複数できる場合は、1つのPDFファイルにまとめてください(PDF編集ツール:I Love PDF)。
提出先はSlackの「# cad図学2024-step3-課題3」チャンネル
自分(設計者)が設計して作図した模型用図面を自分のSLACKアカウントで提出。
課題3-3の図面のファイル名は「学籍番号_step3-課題3.pdf」(例:1250987_step3-課題3.pdf)
設計者に点数がつきます(最高:5点)。
課題3-3で作図した模型用図面をもとに、プレゼン模型を作成する(制作担当が責任もって行う)。
設計者は模型用図面を制作担当に渡して、模型を作成してもらう。
設計者は事前に監督に図面に不備がないか確認してもらう。
壁圧が実寸法で150mmあるので、模型は厚み3mmスチレンボードを使う
スチレンボードとは両面にケント紙が貼ってある素材です。
模型の縮尺はS=1:50
綺麗な模型を作る方法をこちらで紹介しています。(LINK:スチレンボードで模型を作るコツ)
プレゼン模型の例
模型の写真の撮り方
・建物の屋根や壁が水平垂直である場合、写真でも同様にできる限り垂直水平の構図で撮影する。
・斜めから撮影する場合は、地面の水平は保つ。
・背景はできるだけ模型を邪魔しないところで撮影する。上記の例は背景が特に配慮がない。
提出先はSlackの「# cad図学2024-step3-課題4」チャンネルにPDFで提出。
1ページ目はプレゼン模型の写真3枚以上レイアウトしたもの。
2ページ目以降は使用した模型用図面。
つまり自分が制作した模型写真(レイアウトされた)と図面(メンバーが作成)を合わせたPDFを作成する。
課題3-4のPDFは「学籍番号_step3-課題4.pdf」(例:1250987_step3-課題4.pdf)
最高:5点。
最後の仕上げとして、図面や設計意図をA3用紙に美しくレイアウトして、プレゼン資料を作成します。
鏡野公園の図面をここからダウンロードして利用してください。
図面の枠は下の画像の通りに各自で作図してください。
模範プレゼン資料 1
プレゼン資料
以下をA3サイズ1枚の資料にまとめ、印刷して提出してください.またPDFファイルにしてSlackへ提出してください。
配置図 S = 1:2000
図面名称、縮尺、方位、スケールバーも明示すること。フォリーの設置位置に◎を描くだけで、そこに1/2000の図面は不要。
平面図 S = 1:100
幾つかのレベルで平面を示すこと。図面名称、縮尺、方位、寸法、断面線、斜め方向立面指示を記すこと。
断面図二面 S = 1:100
設計意図がわかる断面を切ること。図面名称、縮尺、寸法、GLライン(極太線)を記すこと。
立面図二面 S = 1:100
2面のうち、一面は面に対して斜め方向から見た立面図とする(その向きを平面図に示す)。図面名称、縮尺、GLライン(極太線)を記すこと。
設計主旨
以下の3つの項目で、計画した空間の意図を文章で簡潔に書いてください。
1. 目指す空間のあり方
2. 敷地選定の理由
3. フォリー完成後に期待する使われ方や魅力について
タイトル
自ら銘々したタイトルを、図面枠内左下につけること。
原則としてA3サイズ1枚ですが、どうしても入らない場合は2枚になってもOKです。
ファイル名は「学籍番号_Step3-7.pdf」にしてください(例:1234987_Step3-7.pdf)
02/06(木)の授業中に提出を行います。
授業中にプレゼン資料を提出して下さい。
採点後、プレゼン資料は2/10(月)の授業で返却します。
提出先はSlackの「# cad図学2024-step3-課題7」チャンネルにPDFで提出。
プレゼン資料の.pdfファイルをSlackに投稿して下さい.
評価項目
Step3-7の成果品について、下記を総合的に評価します。1〜8の順に上のほうほど重要視します。3-1〜3-6までの提出物は、試行錯誤中ですから評価しませんが、提出していない場合は減点があり得ます。 また,設計・監督・制作,それぞれの立場で充分に役を担えていないと教員が判断する場合は減点とします.
必要な提出物等が揃っているか
平面図、断面図、立面図、配置図、設計趣旨、枠線など
模型と図面の整合性がとれているか
正しく図面が描けているか
線の太さや種類の使い分け等
方位、寸法、縮尺、断面位置、基準線(GL)、芯線符号、図面タイトルなどの標記が抜けていないか
レイアウトの整列と美しさがあるか
設計趣旨の文章の内容と明快さ
設計したフォリーの創意工夫や魅力
模型が正確か,美しいか
評価の目安
60点 期待を超えて優れた出来映え。
50点 評価項目全てについて、しっかりと仕上がっており、欠点がほとんどない。
40点 やや欠点が有るが、頑張っている部分もある。
30点 堅実だが、冴えもない普通の仕上がり。
20点 とにかく何でも良いから出しましたという感じ。